技術ノート

画面表示の意味と、レシピを共有できる理由

カロリー、PFC、レーダーチャート、アラート、栄養素の詳細行がそれぞれ何を意味するか。ワンちゃんの条件を少数のクラスに分ける理由、レシピ種別ごとの評価の違い、調理手順の提案が数値を動かさない理由を説明します。

このページでは、栄養プロファイル画面に出ているものが 何を意味するか を説明します。画面の操作は 栄養プロファイルの見方 を参照してください。

主表示は 4 つ

栄養の主な表示は、カロリー、PFC の円グラフ、レーダーチャート、アラートの 4 つです。その下に栄養素ごとの詳細行があります。

栄養の主表示は4つ

カロリー

カロリーは 3 つを分けて表示します。

  • 目標カロリー:そのワンちゃんの 1 日の目安。点推定と目安の幅で示します(カロリーの定義)。
  • レシピのカロリー:NRC 2006 の式で計算した代謝エネルギーです。
  • 目標との比較:充足率(目標に対して何 % か)で示します。

「−1%」のような差分表示をしないのは、目標自体に幅があるのに、1% 単位の差に意味があるように見えてしまうからです。

PFC の円グラフ

たんぱく質・脂質・炭水化物が、レシピのカロリーのうちそれぞれ何 % を占めるかを示します。カロリーと同じ計算を分解しているので、合計は必ず 100% です。三大栄養素の配分を代謝エネルギーに対する割合(% ME)で示すのは、獣医栄養学の文献や療法食の成分表でも一般的な表し方です。

円グラフには、レシピの傾向を表す 4 つの型(ごちそう型、体づくり型、エネルギー型、バランス型)を添えます。ただし、犬の食事に「これが正解」と定められたマクロ配分はありません。型は 良し悪しの判定ではなく、レシピの傾向をつかみ、比べたり探したりするための分類 です。たんぱく質や脂質が必要量を下回っているかどうかは、円グラフではなくアラートで示します。

レーダーチャート

6 つの軸(骨格・歯、筋肉・体づくり、肌・毛並み、元気・代謝、免疫・抗酸化、ミネラルバランス)ごとに、そのテーマに関わる栄養素がどれだけ基準に合っているかを 0〜10 で示します。形が正六角形に近く、大きいほど、バランスの良いレシピ です。凹んでいる軸は、そのテーマに関わる栄養素が弱いことを示します。

  • 各軸は、関係する栄養素の評価をまとめたものです。一つの栄養素が複数の軸に関わることもありますが、同じ外れで 2 つの軸を二重に凹ませないよう、軸ごとに見る方向(不足だけ、過剰だけ、両方)を決めています。
  • 平均だけでまとめると、一つの重大な外れが他の良い栄養素に隠れてしまいます。そのため、平均に加えて最も悪い栄養素の影響も混ぜています。
  • 確からしさが低い栄養素は、軸の形への影響を小さくしています。
  • 軸の点数は「基準を満たしているか」で 2 段階に分かれていて、軸のすべての栄養素が基準内なら 6.7 以上、基準を外れる栄養素があれば 6.7 未満になります。基準内でさらに推定のぶれを見込んでも外れない位置(設計帯)にあれば、より高い点になります。

チャートの外側の補助線は 6.6 の位置にあります。この線より外に出ている軸は、その軸の栄養素がすべて基準内です。栄養素ごとの数字は、チャートの下の詳細で確認できます。

アラート

Warning・Caution・Advisory の 3 段階で、重要な順に並びます。段階の決まり方は 推定の幅、確からしさ、アラートの強さ で説明しています。

栄養素の詳細行

栄養素ごとの行には、次の情報が出ます。

  • 推定値:カロリーあたりの濃度。括弧の中は、必要量(最小値)と上限です
  • 推定範囲:推定値とは別の行に出します。括弧の中の必要量・上限と取り違えないためです
  • なぜこの必要量か:どの基準列を使ったか(たとえば「成犬 95 kcal 列」)。別の列の値は並べません
  • 推定精度:高・中・低の 3 段階
  • 必要に応じて「この栄養素は一部の食材でデータが未収載です」

数値の桁は、有効数字 2 桁程度に抑えています。また、必要量(下限)は切り上げて表示します。

ワンちゃんの条件を少数のクラスに分ける理由

栄養素の過不足を判定する基準列は、ライフステージ(成長初期・成長後期・成犬)と、成犬では去勢・避妊の有無 だけで選んでいます。組み合わせは実質 4 通りです。体格は成熟する月齢を決めるので、ライフステージを通じて反映されます。体重や BCS、細かい月齢は 分量(カロリー)の計算だけ に使い、栄養素の判定には持ち込みません。

これより細かく分けないのは、それを裏づけるデータが無いからです。基準値は集団に対して定められたもので、たとえば体重 10 kg と 15 kg の成犬で、カロリーあたりに必要な栄養素の量が違うことを示した研究データはありません。データの無い区分を足しても、計算が細かくなるだけで精度は上がりません。

分量を変えても評価が保たれる理由

すべての食材を同じ倍率で増減しても、栄養素の濃度(カロリーあたり)、比率(カルシウムとリンの比など)、PFC の割合、推定範囲の相対的な幅は変わりません。変わるのは総カロリーとグラム数だけです。

そのため、同じクラスのワンちゃんであれば、体重が 3 kg でも 30 kg でも、同じレシピは同じ評価 になり、分量だけを合わせて渡せます。「うちの子モード」や日分量の切り替えは、保存済みの評価に倍率を掛けて表示しています。丸めたグラム数から計算し直すことはしません。

ただし、次のときは注意して表示します。

  • ライフステージが違うワンちゃんに渡すとき:成長期と成犬では必要な濃度が違うため、元の評価をそのまま当てはめられません。カロリーとグラムは出しますが、レーダー・円グラフ・過不足は出さず、その旨を表示します。
  • 去勢・避妊の有無だけが違う成犬どうし:基準列の違いは、同じ成犬の必要量を摂取カロリーの違いで書き分けたものなので、評価を切り替えずにそのまま表示します。
  • 丸めで食材の割合が崩れるとき:倍率を掛けたあとの分量がごく少なくなる食材があると、皿の上の割合が元のレシピからずれます。そのときは、表示している栄養プロファイルが不正確になる旨を表示します。

保存されたレシピの評価には、計算に使った仕様のバージョンを記録しています。計算方法や基準値が更新されたあとも保存済みの評価はそのまま表示され、レシピを開き直して計算すると最新の仕様の結果に置き換わります。

レシピの種別で評価の出し方が変わる

レシピには 3 つの種別があり、評価する内容が違います。

  • 毎日の食事:主食として栄養を満たすことを目指すレシピです。不足・過剰・バランスのすべてを判定し、レーダーも表示します。
  • おやつ・トッピング:ときどき与える補助食で、総摂取カロリーの 1 割程度までが目安です。栄養の充足を狙うものではないので、不足は判定しません。過剰は、上限がある栄養素について、1 日に許される量のうちおやつに割り当てる分を超えていないかを、1 日あたりの量で見ます。レーダーは表示しません。
  • イベントフード:誕生日など、その日の食事 1 回分を置き換えるレシピです。不足は判定せず、1 回でも大きく外れると影響が重い栄養素の過剰だけ を、毎日の食事と同じく濃度で判定します。

種別によって評価する項目が違うため、毎日の食事として作ったレシピをおやつとして流用することはできません。分量の変更は同じ種別の中で行います。

調理手順の提案は数値を動かしません

食材と分量が決まったあと、調理手順の文章を提案する機能があります。この提案は、

  • 選んだ食材リストをもとに、レシピの種別に合わせた手順を書く
  • 栄養を残すことと食中毒の予防を優先し、洗う・皮や種や骨を取るなど一般的な下ごしらえを含める
  • リストに無い食材や調味料は足さない(加える水を除く)

という方針で作られます。そして 栄養素の推定値も、アラートも変えません。手順を反映しても栄養の評価は再計算されません。

理由は、手順という自由な文章で数値が動くと、同じ食材・同じ分量のレシピが、手順の書き方によって違う評価になってしまうからです。調理の工夫は「助言」であって「判定」ではない、という線を引いています。

シリーズ目次

  1. 技術ノート:わんぱくキッチンの栄養計算は何を示しているか
  2. カロリーの定義:なぜ NRC 2006 の式を使い、幅で示すのか
  3. 栄養基準:なぜ FEDIAF を一次基準にするのか
  4. 推定の幅、確からしさ、アラートの強さ
  5. 画面表示の意味と、レシピを共有できる理由(このページ)